
北海道武蔵女子短期大学 課題解決演習では、歴史や文化を実際に現地で体感するフィールドワークを行っています。
明治時代に入り、北海道には多くの人々が移住してきました。北海道伊達市や当別町には、仙台藩の伊達家一門である亘理伊達家と岩出山伊達家の人々が入植し、北海道の開拓に従事しました。本演習では、事前学習の内容をふまえ実際に現地を歩くことで、移住と開拓にまつわる北海道特有の歴史文化を体感することを目指しています。
今回は、伊達市と当別町で実施したフィールドワークの様子を中心に、活動の一端をご紹介します。
継承される武家の誇り―伊達市フィールドワーク―
北海道伊達市は、亘理伊達家の伊達邦成とその家臣団が明治初期に入植し、開拓したところです。今回の見学先のひとつである「総合公園だて歴史の杜」には、伊達政宗のいとこで重臣でもあった伊達成実の冑を模した巨大な作品が、堂々たる風格で展示されていました。整備された公園の大手門とともに、武士たちがつくった街であることを改めて感じさせます。公園内では、伊達邦成邸の庭園であった旧伊達邸庭園を歩きました。土塁の様子などから、城郭的な要素をもった場所であったことがうかがえ、近世の余韻が残る明治初期の時代相を体感することができました。

だて歴史文化ミュージアムでは、展示を中心に伊達市の歴史文化を学びました。見学に際しては、学芸員の方に丁寧な解説をしていただき、学生たちも理解を深めている様子でした。市内で出土した考古遺物、亘理から北海道へ持ち込まれた伊達政宗関係の古文書や亘理伊達家ゆかりの武具をはじめ、伊達市の歴史文化を存分に味わうことができました。開拓の記憶を絵画に残そうとした小野潭の作品が並ぶ企画展は、まさに圧巻の展示となっていました。
続いて訪れたのは有珠善光寺。江戸幕府に保護された蝦夷三官寺の一つです。道内有数の由緒をもつ歴史ある寺院で、多数の文化財を有しています。今回は、宝物館で仏具や仏像、絵画、古文書をはじめとする貴重な資料を拝見しました。豊かな緑に囲まれた境内を歩きながら、札幌では味わうことのできない伊達ならではの歴史を体感しました。
移住者が伝えた貴重な文化財―当別町フィールドワーク―
後日やってきたのは、札幌の隣町である当別町です。当別町もまた、伊達家一門である岩出山伊達家の伊達邦直とその家臣団が開拓したところです。今回は、〝移住者たちが北海道にもたらした文化財〟に注目して、フィールドワークを実施しました。
まず訪れたのは、当別伊達記念館と伊達邸別館。江戸時代の岩出山伊達家は、京都の公家で和歌の家として著名な冷泉家と婚姻関係を結んでいたため、岩出山にもたらされた嫁入り道具や化粧道具などが、当別移住によって北海道へと渡ってきています。学生たちも、貴重な文化財に興味津々です。隣接する伊達邸別館も見学し、手づくりの釘や風情ある内観から、開拓期の苦労や当時の人々の暮らしの一端をうかがうことができました。




続いて当別町図書館において、岩出山伊達家の家老を務めた吾妻家に伝わった古文書を拝見しました。学内で古文書の実物を読むことは難しいですが、こうして古文書を実際に目にすることができるのも、調査の醍醐味といえるでしょう。
フィールドワークの最後に、札幌市内へ戻って清華亭を見学し大通公園を歩きました。札幌を出て歴史の見方を学んだことで、身近な歴史もこれまでとは違った角度から考えることができたのではないでしょうか。
地域の歴史を知り、文化を理解する取り組みの大切さ
過去を知るために欠かせないのが文化財。だからこそ、残された古文書をはじめとする史料が、各地域で大切に受け継がれてきました。参加した学生からは、
「古文書から当時の歴史や文化、生活を知ることができると分かった」 「古文書を見て昔の人と繋がることができたと強く感じました」 「まだ私たちの知らない事実があると感じました」
という感想が出されており、学生にとって、歴史を知るための材料である文化財の存在意義を理解するよいきっかけになりました。今回の演習で抱いた知的好奇心を、これからも持ち続けてほしいと思います。
北海道武蔵女子短期大学
髙鳥 廉 専任講師
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